空中回廊 槍穂~常念 縦走

3000m級の空中回廊を一筆書き縦走。

  • 山名/山域; 穂高岳、槍ヶ岳、大天井岳、常念岳、蝶ヶ岳/北アルプス

  • ルート; 上高地~重太郎新道~穂高~大キレット~槍ヶ岳~東鎌尾根~大天井岳~常念~蝶ヶ岳~上高地

  • 登山形態; 単独 キャンプ 縦走

  • 日程; 2005/09/28(火)~10/01(金) 3泊4日
  • MAP
  • 高低図

 


※時間・数値・装備及び感想は、この山行時・個人のモノです。 あくまでも参考としてください。

 

家で荷をパッキングすると、意外とコンパクトに仕上がる。今回、新調したコッヘルとコンロのおかげだ。
今度こそ天気も良さそうなので期待膨らむ。

Day-1 2005/09/29(火)

  • ルート; 沢渡→上高地~重太郎新道~前穂~吊尾根~奥穂
  • 行程; 行程9時間30分 [7時間40分]
  • 標高差1700m、テント担ぎで登る重太郎新道
自宅→【中央HW.塩尻北】→沢渡
960m
05:30発
曇り 無風
9℃(4:30)
水道水 トイレ 駐車場


前夜は沢渡の駐車場に夜中に着き車泊。 平日なので始発バスの乗客は半分ほど。釜トンネルも広く明るくなった。

バス30分 アルピコバス/シャトル〈往復¥1,800 )
1505m
06:00~06:10
曇り 無風
12℃
foma=〇
登山届ポスト トイレ 水道水


岳沢

バスターミナルで登山届けを投函して河童橋を渡る。

山上は低い雲が出ているが、日を受けた穂高の稜線は穂高の名のとおり、穂先がコガネに輝っている。『今日は晴れる』自分を信じて梓川沿いを歩く。

重太郎新道は初めてのコース。平日の急登り、だれもいない。

穂先がコガネ色
■アプローチ 15分

岳沢登山口

1530m
06:25入山
曇り
12℃


石階段の登山道

登山口の標識によると、前穂高岳まで6時間。最初は石畳の森をユルユルと登る。

岳沢ヒュッテまで30分

登山中の標識
山谷が上手に描かれている


▲登り 30分

風穴

1725m
06:55
曇り/晴
8℃


風穴は冷気が吹き出る天然クーラー。でも、今日は冷え過ぎだ。『どこにつながっているのカナ?』苔が生す不思議な場所。

晴れてきた。前方に穂高の西尾根の岩稜壁がそびえ立つ。やがて岳沢沿いの明るい登山道、斜度は少し増す。岳沢ヒュッテに近づくと白岩の涸れた沢の中を進む。ヒュッテは登山道の対岸にある。

壁のような岩山
風穴

白い冷気が_

▲登り 1時間20分
2170m
08:15~08:30
曇り/晴
10℃
foma=〇
湧水・小屋水 有人小屋


赤い屋根の岳沢ヒュッテ

穂高の西尾根の裾はなだらかな明緑色。草原のように見えるそれは上高地に広がってゆく。
『ハイジが居そう。』

岳沢ヒュッテ前には開放テラスがあり気分よし。ヒュッテの方々以外はだれもいない。評判の【限定カレー】 残念ながら、急登り前なので御遠慮しよう。

テント場を抜け右折れでジグザグ道の急登が始まる。登るごとに斜度が増す。長めのハシゴを越えてカモシカの立場にたどり着く。

▲▲急登 55分

カモシカの立場

2495m
09:25~09:35
16℃


先の道を確認するためには、首を大きく後ろにそらさなけらばならない。登りは緩むことなく続いている。『こんなに長い急登 初めてカモ。』足元もほとんど岩帯に変わってきた。気温もぐんぐん上昇、すでにTシャツだ。

雲が飛んで大きな晴れ間が広がる。左手からアルペンな山並みが登場。森林限界も近い。素晴らしい眺望で急登も苦ではない。

アオゾラヒロガル!

今朝、上高地からコガネに見えた稜線もいぶし銀に輝る

上高地を見下ろす その先には乗鞍

その上高地も今や足元だ


ふと弱い硫黄の匂い。『焼岳から?』

▲▲急登 35分

岳沢パノラマ

2655m
10:08~10:20
24℃


白亜の石階段

白亜の石階段

見上げれば紀美子平付近の稜線と前穂高岳の偽ピークがはっきり見える。岩稜の灰色の壁が青天を分断する。

右手の明神岳は、ここから観ると黒いギザギザ頭のいかめしさとは対象に、岳沢に延びる裾はブリティシュグリーンのAラインが優しげな二面性を持つ。『広角レンズがいるな。』このオンボロカメラでは写しきれない展望が広がる。

石垣のようだ

逆層の石灰岩

明神岳

明神岳


森林限界超え

前穂の偽ピーク

岳沢パノラマからは、斜度が僅かに緩くなるが大きな岩が増えてくる。この辺で下山する方々と交差する。

▲▲急登 40分

雷鳥広場

2820m
11:00~11:10
25℃


今日は晴天のため雷鳥ではなく、山ヒバリがさえずりまわる。

雷鳥広場は、ベンチ状の岩床が階段状に並び、ザックを担いだまま腰掛けるのにもってこいの場所。

岩だけの登山道が続く

ベンチ状の岩床が階段状に並ぶ

わくわくの稜線

明神の峰群クライミングギアが無いとだめですか?


紀美子平前に、スラブ面に長いクサリ。今日はクサリに頼らず登れるが、『濡れた下りは滑るんだろうな』と心配する。

▲▲注意ヶ所急登 20分

紀美子平

2910m
11:30~11:40
28℃


岳沢ヒュッテを見下ろす

岳沢ヒュッテが足下だ

紀美子平に到着。 [ジリジリ]日差しが強い。ザックが5~6個デポされている。何人かの方々は休憩中。

重太郎新道を切り開いた今田重太郎さんは、娘の紀美子ちゃんをここで休ませ登山道の開拓にあたったという。『紀美子ちゃんは自分で登ったの? 背負われて来たの?』

Coffeeキットをサブザックに詰め、長袖を着て前穂高岳にピストン。偽ピークを左に回りこみゴツゴツした岩を登りだす。


▲▲急登(ピストン) 25分

前穂高前岳

3090m
11:55~12:25
晴 西微風
foma=〇
主峰


岩山が雲をまとう

吊尾根~奥穂

今回の一つ目のピーク、前穂高岳の頂上に立つ。槍も、常念も、雲を巻きながらそこにある。今回の山行ルート、空中回廊がすべて見渡せる。

デポしていた人達は、みなさん途中ですれ違い降りていかれた。紀美子平から一緒に登って来た女性にお水をあげながら、自分のルートを説明する。『この見える稜線をぐるっと一周するんだ。』彼女は涸沢→穂高と巡ってきたそうだ。「今年の北アは晴れ日が少ないと山小屋の友人が言っていたわ。晴れが続くといいですね。」写真を撮ってあげる。彼女は先に下りる。

独り頂でCoffeeを点てる。奥穂高につながる吊尾根を覗き込む。『ここから降りてはいけないの!?』

明日の目的地

槍ヶ岳と東鎌尾根

明後日の目的地

たどり着くか?常念岳

▽▽急下り(ピストン) 20分

紀美子平

2910m
12:45~13:00
晴 西微風
24℃


左は断崖

上高地側をトラバース

紀美子平に戻り、吊尾根に入る。暑いのでTシャツに戻した。

最低コルまでは上高地側を大きくトラバースして行く。右には岩壁、左は上高地に向かって切れ落ちる片斜面と、注意箇所と云われる吊尾根だが、ひとり分の道幅は充分あり、すれ違いに注意すれば、問題なく最低コルへと登る。『好天ダシネ』

もろそうな岩積木

砦を連想させる奇岩

険しくも神々し岩山

西穂高へのバリエーションルート


▲登り 25分>

吊尾根のコル

2890m
13:25~13:30
晴 西風
24℃


涸沢側はロッククライミングの世界

吊尾根最低コルから見上げる前穂高岳

ここからはまた急登り。息は切れるが。空気の希薄感はない。体調は『No problem』
ガレ場は〔カラカラ〕軽い音を立て流れやすい。 長いクサリ場を登るとヒョッコリ南稜ノ頭に出る。南稜ノ頭に出れば、岩原を緩く進んで奥穂高岳の頂に着く。

ここから稜線沿いになる

吊尾根最低コル 上空には秋の雲

険しい稜線

各ピークが整列する穂高の西尾根


▲注意ヶ所登り 1時間30分

奥穂高岳

3190m
15:00~15:10
晴 西風
9℃
foma=△
主峰


gendarme{F} =護衛兵

ジャンダルム

稜線上の山小屋

穂高山荘が見えてきた

奥穂高岳は日本第3位の標高3190m。大好きなジャンダルムが目の前に鎮座する。涸沢の紅葉はまだ早い。

飛騨側からの風が強まる。頂きの風で急激に冷える。フリースとレインを着る。午後になり、雲の動きが早い。高層の秋雲と低い雲がはっきりと分かれて動く。

大天井岳~常念岳

空中回廊 涸沢の山小屋も足下だ

奥穂から観る前穂

前穂


あいかわらず小屋に到る下りはダイビング。最後まで山荘の赤い屋根上面しか見えない。


▽下って ▽▽注意ヶ所急下り 25分
2983m
15:35着
9℃
foma=〇
キャンプ指定地 湧水・小屋水 有人小屋


テント泊の手続きをして、風ですっかり冷えた身体を山荘のホットミルクで暖める。最新設備をそなえる小ぎれいな山小屋。『何でも買えそう』

小屋泊まりの方々がどんどん到着する。しかしテントは10張以下だ。自分もテントを張り夕食としよう。【カレーうどんとアルファ米】唐辛子をしっかり利かせて作る。

18:00で外気は4℃ テント内は15度だった。「テントは寒くないですか?」とよく聞かれたが、上は薄長袖+フリース・下は山パンツ+フリースパンツ、シュラフは3シーズン用。今回の寝着はすべてこのSETで『少し暑いぐらい』でした。

今回から持つようにしたラジオで、明日の天気予報を聞く。[午前中は晴れ、午後は曇るでしょう] 『よし』明日の前半は難所越が続く。

No.77

ラッキーナンバー テント札

穂高山荘幕営地

後ろは明朝に登る涸沢岳

雲に浮かぶ笠

飛騨側の笠ヶ岳 山の上に虹が立つ




Day-2 2005/09/29(水)

  • ルート; ~涸沢岳~北穂高岳~大キレット~槍ヶ岳
  • 行程; 行程9時間10分 [7時間]
  • 前半は大キレット、難所が続く

穂高山荘

2460m
05:30出立
雲多め
-1℃(5:00)
foma=〇
キャンプ指定地 湧水・小屋水 有人小屋


まだ雲が多いか

東の常念から朝日が昇る

薄暗く風もない涸沢岳をストック無しで登りはじめる。

『おはよう。』雷鳥の若鳥が[キョトン]とした顔を出す。東の常念から朝日が昇る。星が綺麗な夜明け。『今日は晴れそうだ。』

▲登り 50分

涸沢岳

3103m
05:50~05:55
晴 無風
0℃
主峰


涸沢岳の頂上で明るくなった。天気は大丈夫。北穂~槍まで雲、風は無さそう。レインスーツを脱ぐ。

北穂~槍の険しい稜線

視界良好の大切戸

笠ヶ岳

今朝の笠ヶ岳

『いいねっ!』自称岩場好きの自分が声をだす。涸沢岳からコルへの下降 真下へ凹溝の中を下りて行く。
さらに不安定で脆い岩場のため、手・足場共に充分確認しながら加重する。数回抜けそうな岩を手にする。

今は誰もいないが、落石させぬよう注意する

一般に山としては認知度の低い[涸沢]岳だが、『標高といい 立派なピークだ』。

▽▽急降 50分

涸沢のコル

06:40
晴/曇り 無風
3℃

涸沢岳の下りほどではないが、やはりグズグズの岩場を登り北穂高 頭上の雲が消え晴れてくる。

クサリの急下降

最初のルンゼを降りた所

コルまでが険しい

難所は写真では伝えづらい

岩壁の涸沢岳

『ここを降りてきたのね』
まさに見上げる壁だ


自然の積み木のような岩があるコル。ドームの涸沢側に大岩のテラスもあるが休憩せずに先へ。

◆稜線 1時間15分

北穂高岳 南峰

3106m
07:25~07:30
晴/曇り 無風
主峰


涸沢岳の下りほどではないが、やはりグズグズの岩場を登り北穂高。頭上の雲が消えてくる。

飛騨側

クライミング向きの岩も見える

美しき涸沢

神の手形 涸沢

オーバーハングする大岩

オーバーハングする大岩


南峰からは涸沢側に下り再度、飛騨側に乗っ越して北峰に登る感じ<。

◆稜線 30分

北穂高小屋

3100m
08:00~08:30
10℃
foma=〇
湧水・小屋水 有人小屋


槍ヶ岳までの稜線

大キレット

北峰の頂と同じ高さに北穂高小屋の屋根が並ぶ。日本でいちばん高いところにある山小屋(富士山を除けば)で知られている。もう皆さん出立なさったので小屋前のテラスにはだれもいない。ベンチで足を伸ばして休憩できる。

テラスから望むキレット越しの風景はいつ見ても心ときめく。淹れたての【穂高ブレンド〈¥400〉】を頂きながら逸る気持ちを抑える。

『さてと』 大キレットに下りだす。

▽▽注意ヶ所急下り 20分

飛騨泣き

08:50


大キレットの道

両脇断崖の岩道

登山者が少なく、良天候のキレット越えは渋滞とは無縁。難所と言われる箇所もあっという間に過ぎて行く。


◆稜線 20分

A沢のコル

2805m
09:15


荷物を背負って

南岳が大きく望めるコルの広場で、お年頃の若者がUVケア中。

自分はお年頃は過ぎているから…


◆稜線 15分

長谷川ピーク

2850m
09:25~09:30
11℃


涸沢の面は紅葉が観られる。が、『今年の槍穂はどこも茶枯れが多いような気がするなぁ』

この辺は梓川側に緑が育つ

長谷川ピーク A沢のコルへの下りから

みんなお元気だ

長谷川ピーク
ナイフエッジを行く登山者

◆注意ヶ所稜線 15分

大キレットの底

2784m
09:40
11℃


大キレットの底

本谷には紅葉と万年雪

コル底部は滑らかな稜線。センタを進めて気持ちよい。右下の本谷には紅葉と万年雪も見られる。

〔ケン・ケン・パッ〕と石帯を抜ければ南岳への急登りが待ち受ける。

難所終了の看板

これで今日の難所は越せた。

南岳小屋への登り。ここで急にガスが湧き出てくる。風も出てきて、気温も一気に下がる。

垂直壁のクサリ場よりも、最後、丸太で崩れ止めをしている白い砂礫の坂が滑りやすい。


▲▲注意ヶ所急急登 1時間20分
2990m
11:00~11:30
霧 南西強風
4℃
湧水・小屋水 有人小屋


白ザレの稜線

白ザレの稜線

小屋前は強風が吹き抜ける。飛騨側からだ。風力発電の風車も唸っている。休憩しているとレインスーツを着てもまだ寒い。汗が冷えないよう小屋に入り 【手造りドーナッツ〈¥50/2ヶ〉】を頂く。飲み物もセルフ〈¥200)で気楽だ。

小屋からは、今までとはうってかわり広い稜線をユルリと進む。

ここからはストックを使う


◆稜線 20分

天狗原分岐

2990m
11:50
薄霧 南西風


広い稜線道

時折、濃いガスが流れてくるが、風は弱まった。この低い雲ガスが無ければ青空晴れなのだが… 『今日の天気予報はアタリだ。先を急ごう。』

◆稜線 17分

2986mピーク

2986m
12:05
霧 南西風
9℃


雲が出てきた

待ち受ける山 左から中岳~大喰岳~槍ヶ岳

何箇所かのハシゴ、岩場もある稜線だが、都度ストックを片手持ちすれば大丈夫。

中岳は逆さ扇の西を登る。取り付き部は大きな岩がゴロゴロしている。
ちょっと長目の坂を黙々と進む。


◆稜線→▲登り 35分

中岳

3095m
12:40
晴/霧


1220

槍ヶ岳がはっきりとしてきた。時折、槍先を少し右に傾けた姿を見せてくれる。

「槍は美しい」多くの人が思うであろう。 槍ヶ岳が適度の距離に近づくと、私は『孤高』という言葉に締め付けられる。無論、【孤高の人/加藤文太郎氏】などの名だたる登山家も想うが、それ以上に槍ヶ岳は終わり無き高みを極めようとする『孤高美の山』だと想う。

槍穂はこれだけの神々しさを有しているのに、あまり山岳信仰の跡は見られない。周知、槍ヶ岳を開山したとされる【播隆上人】は僧侶であり、信仰が礎であっただろうが、それでも登頂は文政11年(1828年)、江戸末期だ。それ以前の土着した信仰痕などは見られない。 麓の明神には神武天皇の名が出てくるのにだ。昔人にはあまりにも険しい遠山だったのか、それとも風雪がすべて消し去ったのか。


◆稜線 45分

大喰岳

3115m
13:25
晴 西風
5℃


ガスが懸かる時間が増えてくる。大喰岳の上で神奈川から来た方と霧晴れ待ち。写真を撮りながらゆっくり進まれている方だ。 大喰(オオバミ)不思議な名前の山だ。小腹がすいたので行動食をほうばる 『これか!?』

ほんの一瞬だけ、槍が姿を現す 2人とも嬉しい。飛騨乗越の向こうには山荘へ登る緩めのジグザグ坂も見える。

稜線縦走

下って登る

槍ヶ岳と肩の小屋

肩の小屋が見えてきた~

▽▲下って登る 50分
3100m
14:15着
曇り 西風
7℃
foma=〇
キャンプ指定地 湧水・小屋水 有人小屋


ここも平日なのに、山荘泊まりの方は多い。でも、テント場を抜けてきたが、まだ1張りしか無かった。自分もテントを張る。槍の肩にあるこのテント場は、日本一高所にあるテント場。 今日の張り場所は自由選択のため、風裏、平面のGood-Pojiを得られる。

槍ヶ岳山荘幕営地

槍先が顔を出す槍の肩

槍とヤリ

槍とヤリ

明日は地図上では長丁場なので、今日中に槍ヶ岳を登りたい。サブザックで小屋前、ガスが切れるのを待つ。

▲▲注意ヶ所急急登(ピストン) 15分

槍ヶ岳

3180m
15:40~16:00着
曇り 西風
主峰


人が判るカナ?

『晴れた!』 と思ったのに…

『まだだめ~!』 ガスの切れ間に速攻したが間に合わなかった。 途中で霧に巻かれ始める。飛騨からの雲はどんどん厚くなる。 槍先からはミルキーな物しか見えない。下り専用のハシゴを降りる 。

槍ヶ岳頂上の祠

すっかり霧に巻かれてしまう

ガスが巻出した

頂から見おろす槍岳山荘

▽▽注意ヶ所急下り(ピストン)12分
ストック修理

水を買い、テントに戻り夕食。『やっぱりコルは味付き系だね。』 ラジオを聴きながら、ひとり納得し【まぜご飯】の夕食を済ませる。

ストックの先端ゴムを何処かで紛失したのでエイドキットで治療する。 18:00には眠っていた 。




Day-3 2005/09/30 (木)

  • ルート; 槍ヶ岳~東鎌尾根~大天井岳~常念小屋
  • 行程; 行程9時間30分 [7時間40分]
  • 昇降は少ないが地図時間では長丁場

1:00 夢で起きる  [握った岩が外れる] [片斜面で足元のガレが急に流れる] [急下降中につまづき、前に放り出される]
テントのファスナーを少し開ける。僅かに風があるが満天の星空が静かに広がる。『大丈夫。昨日の難所だってあんなに余裕があったんだ。』

4:00起床 今日は長いので早立の予定だったが、下弦の月光、槍は大きな三角錐のシルエット。しらみだす東の雲海_ 『登らなければ。』 早々にパワーバーをコーヒーで流し込み、テントを撤収する。
ヘッドランプを点け、まだ誰もいないであろう槍に向かう。

狭いルンゼ内 槍に抱かれる。昨日、予習してあるので暗闇でも手がけ・足がけを迷わない。最後のハシゴを下から見上げる。『槍先がつけた天の切れ目か_』 星は去り、薄い月だけが残輝している。

▲▲注意ヶ所急急登(ピストン) 15分

槍ヶ岳

3180m
05:00~05:20
晴 無風
主峰


ドキドキする

北鎌尾根 独標

日ノ出前 だれもいない槍の先 動く物は何も無い。無風。大気すらとまっている。恐ろしいほどの静寂。東・西・北3つの鎌尾根の切っ先と、少し太目の穂高に続く南の稜線が一点に集まる場所。螺旋の旋律を聴く。『このとき、この場所、この気持ち』こころに刻む。

2人目、3人目の方が登ってこられた。降下中、昨日の神奈川の方とすれ違う。『いい写真が撮れますよ』と教えてあげれば嬉しい笑顔がかえってくる。

夜明け
槍ヶ岳山頂にて


▽▽注意ヶ所急下り(ピストン)12分

槍岳山荘

3105m
05:55出立
-6℃(4:00)
foma=〇


真っ直ぐになった槍ヶ岳

東鎌尾根上部から見る槍は真直ぐ天を示す

山荘前で荷物を整理していると、大勢の方々が繰り出してきてきた。日ノ出だ。手を止め何となく一緒に御来光。陽が登り切り荷造り完了。東鎌尾根(喜作新道)を下りだす。

太陽は駆け足で昇る。鎌の最初はナイフエッジ。眩しい日の光を浴び続ける。しだいに槍沢側の片斜面だ。

荷物に押されないよう注意する

槍から15分ほどで殺生小屋の真上。団体さんが登りだすのが見える。

今日は朝から快晴だ

今日は朝から快晴だ

後光差す常念岳

常念坊の後光


東鎌尾根を下る

朝日は横から

昨日ラジオで聞いた【Go West/Pet Shop Boys】が頭の中で♪エンドレス状態 独りで行進♪ (方位はEastに向かっているのだが、西岳と輝きに向っているから良いでしょう)

▽注意ヶ所下り 25分
2344m
06:20
晴れ 無風
10℃
foma=〇
有人小屋


『この道は晴れた登り向きですね~』 予定より1時間近く遅れているのに、振り向けば槍があるためナカナカ進めない。 ヒュッテ大槍から石より土が多くなり周りの植物の背も高くなる。

水俣乗越の手前 【窓】と呼ばれる場所、長いハシゴ登りの後、下りは丸木段を立ったまま行くが、所々に霜が付いているので慎重になる 。

残り3分で

この標識は東鎌尾根の登り用

槍ヶ岳 雲ひとつない

光線、角度で少しずつ変化する槍 見飽きない

▽下り 1時間05分

水俣乗越

2344m
07:25~07:30
晴 無風
13℃


蕾

冬支度

水俣乗越で休憩していると、これから東鎌尾根に向かう方々が結構やって来る。西岳小屋を出立さられて来た方々だ。ここからストックを使う。

西岳への登り、朝は日陰のため薄暗く陰な雰囲気の急登。 気温が下がる。ストックは西岳ヒュッテからで良かった。

木ハシゴを登り稜線に出るといきなり眩しい陽光の世界。西岳小屋の屋根が[キラキラ]している 。

▲▲急登 1時間
2400m
08:30~08:40
晴 無風
10℃
有人小屋


美しい空中回廊

振り返ればヒュッテ西岳と穂高

ヒュッテ前で仲よいご夫婦がお食事中。写真を撮ってあげたお礼にリンゴを いただく。久しぶりの新鮮な食べ物、とてもジューシー。

同じ水俣乗越から登てこられたお兄さんも到着 。「今日は槍から常念 明日は上高地に下山の予定」と言う。私と同じコース。この長丁場を解かってらっしゃる。昨日、槍のテント場で1番張りだった方だ。

険しい山々と人の優しさ

リンゴをくださった奥様と
『美味しかった うれしかったです』


西岳の頂上に行く道もあったが、ピストンコースのためパス。西岳の東側をトラバースし喜作新道を進む。

~喜作新道~

晴 無風


好天に感謝

天上沢に注ぐ槍のY字カール

桃源郷のような風景

『なんて青い空なんだろう』

強風で変形成長

大天井(天上)岳

空中回廊 槍穂の稜線は岩稜のストイックな面が楽しかったが、この喜作新道は、まったく違う楽しさを見せてくれる。 ちょっと広目の稜線は秋だというのに植物も豊か、紅葉も進んでいる。天候にも恵まれたので、まさに桃源郷。ここも空中回廊に相応しい。


底は千丈谷

風衝の矮性低木群
赤紫の【クロマメノキ】 緑の【ハイマツ】

立派な山姿

ぴょんと突き出る水晶岳

今日中に常念平まで行く

明日登る予定の常念岳
結構な登りですこと

喜作新道

センタを進める箇所も多い


しかし、右手・回廊の反対側には深い二ノ俣、一ノ俣の谷を挟み常念平が見える。『まだまだ長いぞ。』


◆稜線 1時間10分

ビックリ平

2445m
09:50~10:00
20℃


ビックリ平

ビックリ平からの大天井

『オテンショウ イイナダヨ ヨクゾナズケタリ。』ビックリ平で荷を背負ったまま座り、大天井岳を眺めつぶやく。 反対側から女性が登られてきた 燕山荘から来たと言う。「今朝、空を見て嬉しくて泣きそうでした。」『うん、うん オイラはナイタヨ。』

ビックリ平からは森に入る。道上に架かる枝に何度かザックの頭をこする

◆稜線 30分
2764m
10:30~10:45
21℃
foma=〇
有人小屋


大天井ヒュッテで休憩していると「同じコースだ」というお兄さんが到着。 『この方、健脚だな~』感心する。お兄さんは昨日、槍沢から登って来たそうだ。 次に小屋に着かれたのが大天井側を下りてこられた埼玉の【プロカメラマン】凄い荷物。カメラ機材を含め20㎏はあるらしい。作品のポストカードを見せてもらう。どれも幻想的な北アルプスの四季の瞬間だ。この荷を担ぎ、冬の北アルプスに入りシャッターチャンスを待ち続ける。一瞬を捕らえるために 『…そして? 何のため?』

登りに備えTシャツになる。 大天井岳はヒュッテから見ると砂礫山のようだが、裏面に回ると大岩がゴロゴロしている。日差しが一段と強くなる。

長い木段はしんどい

大天井への登り

大天井岳裏側の大岩
▲登り 50分
2840m
01:30
16℃
foma=〇
有人小屋


大天荘にデポして大天井岳を登るつもりでいたが、考え直して荷を背負ったまま頂上に向かう。 遅れも取り戻したので頂上でランチとしよう。


▲▽往復 20分

大天井岳

2922
11:45~12:25
19℃
主峰


大天井岳の頂上からの眺望も素晴らしい。信州側には雲があるが、上から見る表銀座の尾根や裏銀座の山々、北アルプスの名山がごろごろ見て取れる。

あの同じコースのお兄さんはデポしてこられた。「愛知から車で来た。」と言う。その後、燕山荘に向かうグループの方々、前回大キレットで滑落した方を交えて山談議で盛り上がる。愛知のお兄さんは先に常念に向かう。自分はCoffeeを点て行動食で山見を満喫する

大天井岳の頂きにて

青天のもと槍がピョン

北アルプスは続く

表銀座 燕岳山頂の白岩が眩しい

きれいな稜線道

大天井岳からの下り

◆稜線 40分

東天井岳 小屋跡

13:05
18℃


ここで進行方向が大きく変わる

頂角の広い三角断面の稜線道

登山道を彩る

艶やかな【ウラシマツツジ】

岳沢から北方向に進んできた今回の空中回廊も、ここで大きくUターン。進行方向が南方向に変り、同時に登山道の雰囲気もずいぶん優しくなる。なだらかな丘状、頂角の広い三角断面の稜線道、低木帯が山頂から見えうる山裾まで広大に群生している。 緩やかな斜面を下り、東天井岳の西を巻く。途中に小屋跡の石組みがある。その先は、いったん南斜面に回り込む。山頂を行くコースは廃道のようだ 。

石垣が残る

旧二ノ俣小屋跡

灌木帯に付けられた登山道

東天井の南側は広大な低木帯を下る

◆稜線 40分

横通岳 巻き上

2515m
13:45~13:50
15℃


横通岳、常念岳

この3日間 午後になると常念平は雲が溜まりやすかった

低木帯の中は露根があり、土も流れてしまった、やや荒れた道だ。
名前のとうり、横通岳はトラバースして行く。石から岩に変わる登り道 、『だいぶ地図上の予定時間より早いぞ。』 ガスが出だし常念も姿を隠す。槍穂の展望もかき消された。横通岳を巻いた最上部からは下るのみ 紅葉と立ち枯れの白木が目立つ森に突入しても、どんどん下りる。急に開けた広場に出たら、そこが常念平。

▽下り 30分
2300m
14:20着
12℃
foma=〇
キャンプ指定地 湧水・小屋水 有人小屋


常念平 幕営地

屋前にテント場 その上にはTVと携帯のアンテナがそびえ立つ

先に着いた愛知のお兄さんはもうテントを張り終わっている。2人とも後半が予想外に早く進めたので余裕。ここのテント場は斜地にあるため、少しアンジュレーションがある。 自分もテント張りを早々に済ませ、小屋に向かう。

今日は、おでん〈¥800〉をつまみに缶ビール〈¥500〉をいただく。『晴れ続きの山行にカンパイ!』 北海道から来られた小屋泊のグループの方々からの質問 「ニホンジン?」ちゃんと説明しながら大笑い。

テント場に戻ると愛知のお兄さんが「今夜は寒いかな?」『標高が下がったから大丈夫じゃないですか』 今日のテントは2人だけ。ラジオによると昨夜は今年一番の冷え込みだった。実際は、昨夜の槍肩より日夜の温度差があったようで露がテントを濡らし、それが夜明け前に〔バリバリ〕に凍った。『ヤマデタカヲククッテハイケナイ』テントのベンチレーションを開けておいてよかった。

テント内で【和風ぞうすい】を食べる。1Pでは物足りずにもう1P食べる。『今日は結構歩いたものね。』 怖い夢も見ず熟睡する。

 


 

Day-4 2005/10/01(金)

  • ルート; ~常念岳~蝶ヶ岳~長堀尾根~上高地→沢渡
  • 行程; 行程9時間10分+スケッチ3時間 [7時間45分]
  • いつもとなりは槍穂の大パノラマ

 

3:00起床 南東にオリオン、西には白鳥、その間を天の川が結んでいる。『今日も良い天気だぞッ』 食事を済ませ、5:30に頂上で日ノ出の積もりで撤収を始める。凍ったテントは拭き払ってから撤収だ。

ザックを背負い、小屋前に向かう。愛知のお兄さんのテント、明かりは灯っているが、まだ出立ではないようだ。小屋泊まりの何名かが常念に向かう。小屋前の明かりで靴紐を結び、スパッツを装着し後を追う。

常念小屋

2300m
04:35出立
晴 東風
-3℃(4:00)
キャンプ指定地 湧水・小屋水 有人小屋


常念岳への登りは、朝一の運動にしては結構急だ。先行のヘッドランプの明かりを追っていると、つい登山道を外れ直登をしてしまう。 『スイマセン』 大きめの石がゴロゴロで浮石・岩が多くある。中腹では尾根裏で日ノ出の様子がはっきり見えない。『間に合うか?』不安になりスピードアップ。先行の方々の最後尾につく。


▲登り 1時間

常念岳

2857m
05:35~06:25
晴れ 東風
3℃
foma=〇
主峰


常念岳山頂着ですぐに日ノ出。先行の方々を含め7~8名、皆さん山好きだ。静かにモルゲンロートを迎える。

ピンク色の山脈

槍穂のモルゲンロート

モルゲンロートに染まる

ピンク色の槍ヶ岳

雲海に浮かぶ富士と南アルプス

富士と南アルプス

日が昇りきると青色中心の世界
信州側は雲海に浮かぶ遠方の山
槍穂側は山、そして山
360°の大パノラマ

Coffeeを点て、紅→コガネ→蒼と刻々と変化する山々を拝む。形容できるコトバは無い 。

年配の方が「これで九十九山目、残るはあの鹿島槍!」と顔を向ける。みんなで百名山の達成を祈願。このオジイチャン、一緒に登られた奥さんによると、御歳68齢! お仕事リタイヤ後、8年間でここまで登ったと言う。しかも頂狙いではなく、立寄れる山にも足を向けている。今日も蝶ヶ岳まで回るそうだ。

ピンク色の穂高

モルゲンロートの穂高

雲海に浮かぶ山々

乗鞍、御嶽は海原の島のよう

山影

常念の影は槍穂に三角を成す

常念からの下り稜線

オジイチャンもこの岩尾根を下った

 

青の世界に移った槍穂

青の世界に移った槍穂

青の世界

信州側は雲海に浮かぶ遠方の山

常念山頂祠越しの雲海

雲海に浮かぶ山々

 

まだ先は長い

常念岳から蝶ヶ岳を観る

ここから離れられない気持ちに踏ん切りをつけて、みんな自分の道を歩みだす。
『行こう』 先には、なだらかな蝶ヶ岳の回廊が見える。 しかし、あそこにたどり着くには何箇所かのアップダウンがある。 常念~蝶ヶ岳間の最低鞍へと下りだす。クサリ場などは無いが大岩の中の急勾配だ。

06:40~07:00 最低鞍手前の一旦斜度が緩む尾根の風裏で、先ほどの百名山ご夫婦が朝食をしている。 コーヒーと小屋の【みそパン】をご馳走してくれる。色々お話をする。『ほんとうにお山が好きなんだ』と感じる。 来月には百山目の鹿島槍を登るそうだ。『これもアリ』 愛知のお兄さんも降りてこられた。常念を登りながら日の出を観られたそうだ。

▽▽急下り 20分

最低鞍

2512m
07:15
晴 無風
ドライフラワーのようなヤマハハコ

夏は[ギュッ]と締まっていた
【ヤマハハコ】も弾ける秋

一つ目のピークの登りは少し急な登り返し。

▲登り 15分

一つ目のピーク

2530m
07:30~7:35
晴 無風

森林限界を出たり入ったりになってきた。展望は減るが半紅葉した美しい森だ。

こちらからのの常念も素敵 何度も振り返る

常念岳

▽▲下って登り 50分

二つ目のピーク

2470m
08:30~08:35
晴 無風


二つめのピークもグッと登り、信州側を緩く下る。足下に森がある。池塘だ。突然なのでビックリする。この辺は池塘の痕跡やぬかるみ跡が多く見受けられる。雨後の登山道は泥が出そうだ。

意外と登山者とすれ違う。今日の挨拶はきまっている 『いい天気でよかったですね!』みんな顔がほころぶ。


森が映る

森を映し出す池塘

木々が紅葉

本番近し

ちょこんと

二つ目のピークから観る蝶槍

▽▲下って登り 25分

蝶槍

2605m
9:00
晴 南西風


箱庭のような稜線道

あれが蝶ヶ岳 今回、最後のピ-ク

常念から3つ目のピークが蝶槍。登りだすとすぐに視界が開け、また槍穂のパノラマで足が止まりがちになる。 蝶槍の頂は大岩がゴロッとしているが、その先、蝶ヶ岳までは緩やかに、そして複雑にいくつもの丘が重なり合う空中回廊。 横尾分岐の先の二重山稜もよく解かる。梓ノ谷からの風が出てくる。

ガスると迷いそう

特徴的な二重山稜

常念岳の長い稜線

常念は横から見ると信州側に長い尾根を引く


◆稜線 20分

横尾分岐

2625m
9:15
晴 南西風
18℃


大キレットを反対から観る

大キレットを反対から観る

乾いた冷たい南西風に変わり、高層には薄雲が出る。 『自分がフリーズドライになっちゃう』 唇が乾く。 少し強めの風が吹くとケルンが泣く。
今回の山行も終りが近い。『其処に行けば~ どんな夢も~ 叶うと言うよ~♪』

◆稜線 20分
2677m
09:35~12:30
晴→曇り 南西風
18℃


蝶ヶ岳ヒュッテ着。今日は上高地の終バスに間に合えばいい。時間はたっぷりある。
まずは腹ごしらえ。予備食の【米麺】を煮る。パクチーがいい香りだ。
愛知のお兄さんが到着する。『下山後、運転気をつけてくださいね。』 百名山のご夫婦も到着。『オジイチャン足速いです~次は200名山ですね。がんばってください!』 みなさんここでお別れだ。自分は風裏を陣取り、山を見ながら米麺のスープをすする。


梓川が見える

上高地の谷はEUアルプスのよう

岩詰草

イワツメクサ

山々にしばしお別れ

『また来るよ』


蝶ヶ岳山頂

蝶ヶ岳山頂

写真・画そして詩、今まで数多くの芸術家がモチーフにした槍穂の稜線。 あやかってスケッチする。上空に薄雲がかかり彩色が難しい。

泊る小屋に昼着し、ベンチで酒盛りを始めるおじさん達。『これもよい。』 自分は荷物をまとめる。ずいぶん長居した。
今回、最後のピーク 蝶ヶ岳の頂上は小屋裏からすぐそこだ。 頂上で、もう一度、歩いた山々に目を向ける。空中回廊を下りはじめる時が来た。


◆稜線 20分

妖精の池

2610m
12:40
曇り 無風
20℃


長堀尾根下りの始まり

長堀尾根下りの始まり

池塘

妖精の池


下りだしてすぐ左側にある妖精の池(池塘)。ここから徳沢まで、森中のため展望が無くなる長堀尾根を下ることになる。

下山時、妖精ノ池手前、池塘跡を上から見ると右に踏み跡あるが左側が下山道


▽下り 20分

長堀山

2564m
13:00
曇り/晴 無風


登山道を塞ぐ倒木

倒木が多い登山道

長堀山からの道は、溝状に深く削れたり、浮石、露根、倒木、ショートカットなどで、かなり荒れている。段差な部分も少なくない。 何人かの登りの方とすれ違う。徳沢から4時間半 登りは大変そう。

登山道脇の池

僅かな癒し 2490m地点の池塘


▽下り 40分

2162m地点

2162m
13:40
曇り/晴 無風


ここからは急下り箇所が増えてくる。森床もクマザサが多くなる 淡々と下る。
さすがに少し飽きた頃、前方下、木々の合間に白く広い梓川の河原が確認できる。『もう少しだ。』


▽下り 50分

徳沢

1562m
14:32~14:42
曇り 無風
12℃


ホテルのように立派

徳沢園

徳沢に降りた。もう、山は無い。楽なような、つまらないような…

徳沢園は小説【氷壁/著;井上靖】の舞台となった宿。土曜日なので、この時間でも槍や涸沢を目指す人や下山した人々でにぎわっている。名物の姫林檎をかじる。

平地はストックを交互に振りウォーキングスピードで行く


姫林檎

姫林檎

広い河原

梓川

■水平道 40分

明神

1530m
5:20~15:45
曇り


梓川沿いの道はいつでも多くの人々が往来している。明神からは、少し遠まわりだが【上高地自然探勝路】をたどる。


明神岳
青紫のシオンの花

梓川沿いは【シオン】が
沢山咲いていた

嘉門次のレリーフ  

嘉門次レリーフ

明神橋;先ほどまで目の高さに見えていた明神岳を今は見上げながら橋を渡る。 上高地の猟師だった嘉門次はW.Westonのガイドを務める。北アルプス黎明期の名案内人と呼ばれ、一生を山で生きた。 明神参道脇には今でも嘉門次小屋が建つ。


明神池;〈拝観¥300〉 清らかな水でニジマスやカモが遊び、池底の【イチョウバイカモ】が鮮やかな緑色で揺らめく。

上高地=神降地(神河内) こんな山の中なのに海神(ワダツミ)系が御祭神。海・陸交通の守り神だ。 『昔人も、太古の北アルプスが海だった事を知っていたのかナ』 想像しながら自然の庭園を観る。

明神池
愛嬌ある子
Ferrari-red 【マムシグサ】の実 有毒性

マムシグサの実

工事中のためジープ道もあったが
穂高・岳沢登山路の看板

周遊完了

□水平道 岳沢登山口マデ 45分 (16:30下山)
□水平道 15分

上高地

1505m
16:42~17:10
曇り
14℃
キャンプ指定地


岳沢

上高地のBTに向かう。河童橋から岳沢を振り返る。3日前に登りはじめた山谷は、その時と同じように大きく拡がっている。


バス アルピコバス/シャトル; 上高地17:10→17:35沢渡

沢渡

17:35着
曇り
16℃
水道水トイレ 駐車場


明日は上田の【無言館】を観に行くので今夜はどこかで車泊りの予定。
まずは♨_沢渡も湯処だが、どこも混んでいそうなので、少し寄り道して山から綺麗に見えた乗鞍に行き、【乗鞍 湯 けむり館〈¥800)】へ。空いている。白湯の広々浴槽で身体をおもいっきり延ばして丁寧にストレッチ。 次は、お腹が「おいしいラーメンが食いたいよ~」と言うので、松本市街の【濃厚みそラーメンと餃子】 21:00頃 寝場所は安曇野近くの【道の駅・池田ハーブセンター】にした。




天気図


装備
水タンク:2L+1L 食料:7食+行動食4日分
テント、3シーズンシュラフ
コンロ(中カートリッジ*1)
60Lザック+Wストック=(16kg)


反省
バッテリ
まずは携帯。電源切り忘れで槍の肩でダウンしてしまった。最近の山小屋では充電できる所もあるが… そしてデジカメ。専用充電式のリチウム・バッテリは、温度低下ですぐに弱くなる。テント内ではシュラフに入れたり、夜明け時はフリースのポケットに入れたり、手でこすって暖めたり だましだまし使った。結局4日間で2個のパックを使い切った。もっと冷える時もあるので対策が必要だ。


 
写真
使用しているのはコンパクトデジカメ。めんどくさくってセンタ・フォーカスとストロボキャンセル以外はすべてAUTOで撮影 ホワイトバランス(!?)などの機能や長時間シャッタ時のブレに注意すれば、もう少しまともな写真が撮れると思うのだが これ以上の画素数や、望遠はいらないから広角が…


Good
天候
まったく、ほんとに すべてはこれから始まる


 
ウェアー
秋は気温の変化が激しい。今回の最大寒暖差は測定で34度だった。 時間・日差し・風・運動量・道の状況で対応は、めまぐるしく変わっていったが、Tシャツ+薄長袖+フリース+レインスーツ+フリース帽の組み合わせで全てこなせた。持っていたダウンは保険だ


 
軽量化
コッヘルとコンロを変えただけでこんなにコンパクト軽量になるとは! 防寒の関係で荷が増えているはずなに 楽でした さらに進化させましょう。


感想
好天続きの空中回廊は、これから進む道、昨日通った山々が望めて『山旅』を実感できて面白かった 今田重太郎・播隆・小林喜作・上条嘉門次・W.Weston(敬略) そして無知な私が知らない多くの方々が切り開き、 紹介し、そして守ってきたであろうモノのを少しでも理解することができたと思う山行だった。山に来る方々は、各自さまざまな何かを求めやってきている。『自分は山で何を思い、何をしてゆくのだろう。』 まだまだ自分の山行は続く。


今回歩いた素敵な山々を振り返りながら描く
槍穂がモルゲンロート色 常念岳から
槍ヶ岳は 薄い月の元で巨大な螺旋だった

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