プーシキン美術館展&北斎展

気になる二つの美術展、プーシキン美術館展と北斎展が開催されている上野へ。

  • 日程; 2005/12/03(土)

プーシキン美術館展


ヨーロッパ最大の美術館;プーシキン美術館。革命と変革で国が移り変わる中、ロシアにフランス近代絵画の作品が集まったのは 歴史の妙か。膨大な作品数全体を表現しようとすると、展示構成の焦点が定まらないのはしょうがない。その中で印象に残った作品は__

マティス*金魚 Henri Matisse * Goldfish
 すいません、実際原画を観るまでこの作品はあまり期待していませんでした。でも原画は良かった。かわいいのです。立体感を思わせないのっぺりとした構成、幼稚に見えるタッチと色ずかいが 。『金魚はかわらしい』という、自分の中にある常識とがミックスされ、不思議な『かわいい』をもっている絵でした。タイトルは【金魚】ではなく【私のきんぎょ】がいいかな。

セザンヌ*サント=ヴィクトワール 山の平野、ヴァルクロからの眺め
 Pul Cézanne/The Plain of the Mount Sainte-Victoire,View from Valcros
 セザンヌお気に入りのモチーフ【セント=ヴィクトワール山】この作品は色が優しく綺麗。大地を育てる[ポカポカ]な陽の匂いがした。

ピカソ*アルルカンと女友達(サルタンバンク) Pablo Picasso/Hearlequin and his Companion(The Saltimbanques)
 筆跡、重ねた絵の具の厚みがピカソの思いを感じさせる。『今でも毎晩、ピカソが絵の横に立って筆を入れている…』カモ

あまり知られていない作品では
 レーマン*山脈  Léon Lehmann/Mountains
 今展、自分の部屋に飾りたいと想った絵。グレー調の暗い色使いですが、静かな心落ち着く絵です。

ウジェーヌ*母の接吻  Eugène Carrière/Mother’s Kiss
 画法テクニック的に興味 濃色のバックに薄い色を上手に重ねている。  次は北斎だ。


大銀杏色づく

今年の山より綺麗かも

噴水もライトアップ

夜のとーはく

ライトアップで明暗が強調されている

国立西洋美術館 地獄門

北斎展



チケット

プーシキン & 北斎

『今日は21:00まで閲覧できるぞ。』と余裕でいたら、会期終了が近いので大変な混雑。入場制限で20分待ち。中に入れば 総展示数300点(前期+後期で500点!) さらに版画の展示品は 作品の傍までよれるため 一点を観るのにもかなり時間がかかった。あまりの混雑に博物館も開館時間も30分延長したほど。これだけの北斎の作品が一同に集まるのは100年前のウィーン以来ということであれば、いたしかたがないことか…
数多くの作品が海外にある北斎。この展が日本で開催されるのを喜ぶべきであろう。北斎と言えば「冨嶽三十六景」などの摺り物が有名だが、摺り時期の異なる物を比べることができたり、展示方法も時代分類、特徴の説明が上手に演出されていた。前期のみの展示作品を見逃したのは残念。
『やっぱり北斎はすごい。ほんとにすごい。』今回は貴重な肉筆作品が数多く展示されていたので、まじまじとその『すごさ』をあらためて実感。着眼・発想・構図のすごさは、後世の画家を含めた芸術家に多大なる影響を与えたと言うのも良く解かる。江戸庶民にとって報道・娯楽・ゴシップ等、ありとあらゆる情報カメラマン的立場が才能をさらに研いたのか、一枚の絵に数多くの情報を詰め込む。現実には見えないモノやありえない構図で描いたり、時には細かく、時には省略簡略で現実よりもわかりやすく、絵に描かれていないものまで認識させ、ビジョン・ストーリーを生み出して、視覚以上の感性までもを刺激する。 技術的にも[一筆]のすごさが際立つ。ぼかし・明暗、大胆・精密と、思ったことを思ったとおりに自由自在な筆さばき。CGやエアーブラシなどは北斎には不要だ。フリーハンドの一筆で描いた線は美しい。海や山、水、光や風の表現はため息がでる。今回、画と歌文(和歌、俳句、短歌、川柳など)がひとつになっているという、日本古来のコラボな雅と美しさにも感服いたしました。

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