新しく開かれた弥勒尾根の登山道のお蔭で、残雪期でも日帰りも可能になった高妻山へ。
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山名 / 山域; 高妻山 / 上信越
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ルート; 戸隠キャンプ場~弥勒尾根登山道~五地蔵山~高妻山;往復
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登山形態; 単独 残雪期 ピークハント
- 日程; 2016/03/31(木) 前車泊 日帰り
- 行程;11時間30分 移動;8時間20分(内アプローチ;50分)
- 戸隠キャンプ場-25分-弥勒尾根登山口-2時間35分-五地蔵山-2時間15分-高妻山-90分-五地蔵山-70分-弥勒尾根登山口-25分-戸隠キャンプ場
- MAP(jpg)
- 高低図(jpg)
- GPS・Google Earth DATA(Google Earthをダウンロード後、前記Google Earth data.kmzを展開してください)
※時間・数値・装備及び感想は、この山行時・個人のモノです。あくまでも参考としてください。
夜中に戸隠に入る。一応、戸隠キャンプ場に向かうが、やはり冬季休業中なので水やトイレが使えない。中社の駐車場まで戻って車泊する。
4:00に起床、長野の街で買ったパンを食べながら、戸隠キャンプ場に車を走らせる。登山者用駐車場はフラットな雪床。広い駐車場だが除雪ユンボしか停まっていない。
5:00、空が白みだして出立。キャンプ場の舗装路には雪が無く、雪靴には向かないので、なるべく芝生や土の所を歩く。戸隠山や今日登る五地蔵山が明るくなってきた。『今年は暖冬。』雪は少な目のよううだ。 登山届は舗装路沿いの赤い屋根の小屋のポストに投函する。
立派な桜の樹で右折し、戸隠牧場のエリアへ。前方の黒姫の裾がセクシーだ。一度渡渉し、先に進めば弥勒尾根登山道の看板がある。
弥勒尾根登山道口
登山道の最初は渡渉からはじまる。すぐに尾根に取りつき、チョットきつめの斜度の登山道を登り始める。南東方向の尾根に雪は無く土道だ。
1420m
太陽が昇り登山道の木々が輝く。弥勒尾根の登山道は、ほとんど尾根センターに付けられている。自然豊かな木々、登山道が開かれて日が浅いためか、道の抉れもなく気持ちいい。でも、久しぶりの山登りなので、すぐに息があがってしまう。『マイペースでいきましょう。』
1490mで尾根は痩せ、赤杉のゲートがある。
直角尾根
少しづつ雪がでてくるが、ザラメ雪なのでツボ足で登り続ける。黙々と登り続けると尾根が直角に合わさる地点に出た。ここから雪が増えてきたのでアイゼンを履く。古いトレースがあるので、それを追う。1695mの小山は北側を捲く。
北側の展望が開け、黒姫や妙高の伸びやかな山姿が見えてきた。振り返れば、瑪瑙山や飯縄山も良く見える。古いトレースは時々消え、マーキングも少ないが、今日は視界が良いので迷うこともない。むしろ、はっきりと見える五地蔵山が、なかなか近づかない。
五地蔵山
『あれ?これが高妻山??』五地蔵山の頂上正面にドーンとそびえる高妻山は、戸隠スキー場から見えたシャープな三角尖がり山では無く、意外と横幅があった。
先の道を読む。何度かアップダウンを繰り返す稜線は、細目の箇所もあるがエッジというほどではなさそうだし、大きな雪庇や雪の亀裂も無さそうだ。しかし最後の登りは無木の雪面が長く、結構な斜度であることがここからでも見て取れる。
もう、ワカンを使う事も無さそうなので、ここにデポする。
2053mピーク
南から針葉樹が浸食しているピークは西五地蔵山から一旦下り大きく登り返した。『しんどい。』 木々帯を抜けると更に高妻山が大きくなる。
雪庇が右に左に発達する稜線を進む。雪は焼きついて安定している。
晴天は嬉しいのだが、気温が上がり日差しが強い。すでに上着のベンチレーションは全開。今日はチューブの氷結を警戒して、ハイドレーションを持って来なかった事を後悔する。
急斜面取りつき
頂上下までたどり着いた。膝立ち休憩しながら前の斜面を観る。ほとんど木やブッシュが無い斜面は標高差で100mぐらいか。転んだら止まらなそうな斜度だが、幸い雪は柔らかいのでキックステップでいけそうだ。
登り始めると、予想以上に斜度感を感じる。時々、固い雪が現れると数回蹴りこみ足場を安定させる。結局、最後までキックステップしながらの登攀となる。
薄く古いトレースはスノーシューのようだ。『もっと冬の厳しい時期に、この斜面をスノーシューで登るなんて凄い!!』
頂上稜線
『疲れた~』頂上稜線で座り込み、魔法瓶を急いで出し〔ゴクゴク〕
もう、平坦な稜線の先に頂上が見えるのだが、しばらく立ち上がるのが嫌になる。
だらだらと歩いて頂上着。 残念ながら、北アルプスの展望は、朝よりも霞が増えてしまったが、それでも360°の展望を楽しめる。
予想よりも登りに時間かかってしまった。高妻山から続く稜線の先を見れば、小ぶりながら、がっちりした山姿の乙妻山がある。プランでは乙妻山も考えていたが、もうタイムアウトだ。それよりも帰りの体力回復を優先させた方がいいみたい。
頂上全体を雪が覆い、斜面になっているので、居心地の良い「戸隠御裏山」のプレートまで戻って休憩する。
風もさほど強くなく、気温は暑いぐらいだ。お昼をしながらスケッチする。ついでに雪を溶かして水を確保する。
斜面下
ストックで登った頂上下の急斜面だが、下りは滑落防止でピッケルに持ち替えた。登りで付けたキックステップは下山時にも頼りになるが、それでもやばそうな箇所は後ろ向きで慎重に下りる。最後は尻セード。
2053mピーク
雪が緩々だ。今日は自分の登ってきた足跡をたどる下山。登り時には大丈夫だった自分の踏み跡でも〔ズボッ〕と踏み抜く回数が増え、その度に体力を消耗する。2053mピークへの登り返しは、すっかり立休みが多くなる。
五地蔵山
ここまで戻れば、危険度も体力的にも一安心。時間を逆算しても余裕があるので、デポしたワカンを回収ついでにCoffeeする。ピッケルもストックへ。
朝、登ってきた時から、五地蔵山山頂にスノーシューやストーブ、テルモスが散乱している。朝は、『先行者がデポした物?』とも思ったが、今日の高妻山には自分以外いなかったし_ とりあえず、ブッシュのそばにまとめておきました。
直角尾根
どんどん下る。ひたすら下る。でも、『慎重にあわてずに。』 直角尾根でアイゼンOFFする。
弥勒尾根登山口
牧場の雪原が近づき、川の流れの音が聞こえてくる。『もうちょっと。』 朝より水量の増えた小川を渡り登山口着。川の雪解け水でほてった顔を冷却する。
牧場のなだらかな登りでさえ足が重く感じながら駐車場に向かう。キャンプ場も斜めに突っ切る。戸隠キャンプ場、以前、自分が利用した頃より、オートキャンプのスペースやコテージが増えている。
駐車場に戻った。『飲み物、飲み物』キャンプ場側のジュースの自販機、照明ははついていたが、お金が戻ってくる orz
神告げ温泉
〔ごくごくごく〕戸隠スキー場の駐車場でジュースをいっき飲み。やはりここからだと高妻山はスマートだ。
日帰り♨の神告げ温泉へ。まだ、スキー場は営業期間中だが温泉は空いている。しみ込む熱めの湯で疲れも抜けて行く。
コンロ(小カートリッジ*1)、ツエルトシート
38Lザック(10.5kg)
普段、特に体力維持をなどしていないので、登れなかった。
(なみのりは特に足の持久力は使わないので…)
出立の時点でハイドレーションで行けるのは解っていたが、持ってきていなかった。春の山は日によって気温差が大きいので、ハイドレーションとテルモスの両方を準備し、当日に選択できるようにしましょう。
好天で風弱く、山頂でスケッチすることができました。
いつも戸隠スキー場から、雪がある時期に登りたいと思っていた高妻山。以前の一不動経由では、自分の体力では日帰りは無理だったが、56億7千万年後の未来に人々を救済するとされる弥勒さまのお蔭で、無事日帰りで登れました。裾からは奥深く、山小屋やエスケープが無い高妻山。一日中快晴とは言え、残雪期の平日、年度末とあって、誰にも逢わない静かな山行を楽しめました。
今回あきらめた乙妻山には山スキーの良いルートがあるらしいので、そちらもリストに入れておきましょう。