知人旅行の運転手、合間の山行。闇のアプローチ。
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山名/山域; 蓼科山/八ヶ岳
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ルート; 蓼科山登山口~蓼科山~蓼科牧場
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登山形態; 単独
- 日程; 2005/10/15(土) (前車泊)半日
※時間・数値・装備及び感想は、この山行時・個人のモノです。 あくまでも参考としてください。
前日16:30 知人を女神湖畔の宿に送る。明日の10:00に迎えに行く手ハズ。
女神湖から蓼科山を見る。紅葉の最盛期には、まだ早いようだ。今日は青天だったが、山には嫌な雲がかかってくる。
駐車スペースと登山口までのアプローチを下見する。寝場所、駐車スペースは良いが、アプローチが無灯の舗装路で7kmある。
夜は白樺湖畔の♨すずらんの湯〈¥700〉へ。
すずらんの湯ってこんなに透明だっかしら?? サビ茶色だったような記憶が~
スキーシーズンでない平日の夜なのでガラガラ。露天→サウナ→露天と1時間ぐらい浸かっていた。
白樺湖畔で食事を済ませ女神湖の駐車場(無料)で車泊。
02:30起床 寝袋を出さずとも、毛布一枚で寝れるほど暖かかった。
車を蓼科牧場駐車場に移動する。こちらも無料で利用できるが、この広い駐車場での車泊は禁止されている。
昨日下見した登山口までのアプローチを歩き出す。すぐに街灯は無くなる。車が通る時間では無い真闇の中、ヘッデンだけが頼り。風のリズムで森が〔ザー ザワザワザワ〕、森の奥からは〔ケーン〕〔ギャッギャッ〕と鹿や猿の声。
夕陽の丘
風が強くなり小雨が降りだしてきた。ワインディングロードを早足で進む。聞いた事も無い野生の声が周囲の森から聞こえる。『ヘンデルとグレーテルの気分。』
南平のT字路を左折し、スズラン峠(1750m)から少し下った左側に蓼科山登山口の駐車場(無料)がある 。
1時間20分、長く感じたアプローチ。人が居ない人工物と自然の境界は、槍ヶ岳ナイトトアタックよりよっぽど怖い。
予定の時間より早く着いたが、夜の森につけられた登山道に入るのは腰が引ける。
駐車場といっても照明も屋根も無い砂利の広場。道路反対の乙女茶屋も真暗。おそらく周囲数kmに人は居ないであろう。相変わらず森から野生の声が響き渡る。時々通り雨が降る。ツエルトシートに包まり木にもたれる。Coffeeを点て気を紛らわす。 空腹でもないし、獣が寄ってきても嫌なので食べ物は出さない。
蓼科山登山口
まだ暗いが、今日は下山の時間が指定されているので、覚悟をきめてナイトトレールで入山する。登山口は駐車場から僅かに下ったバス停の所。(バスは本数少なく要確認) 登山道は最初、ササ原を斜度無く進むが、大きく左に曲がるあたりからブラックホールのような森に飲み込まれてゆく。時折、茂みが大きく動く。何かは解からないが動物が居るのだろう。 しかし、アプローチの舗装路を歩いている時のような怖さはない。
大石の急登りを10分ほどで標高1850mまで進む 。
1920m地点
1850~1920m間は、森の中をユルリと進む。時折小雨が降る。まだ日の光は感じない。1920m地点からは唐突に大岩の窪、岩間を縫うように急斜度な登りが始まる。
2113mの頭
八ヶ岳の裏側からオレンジ色に染まりだしてきた。『ありがたや。』息を切らしながらも闇から開放され、緊張が和らぐ。
2113mの頭からは八ヶ岳や南アルプスの展望が良い。山々が夜明け色をバックに浮き上がる。蓼科山の主頂部も見えてきた。頭の先、登山道の斜度はいったん緩み2160mコルまでは少し下る。
2160mのコル
2160mコルに二股のふみ跡あり。右が登山道、左はガレ帯。
ここから登山道は再び急登り。山頂に向かって岩の窪がまっすぐ続く。斜度は徐々に増しMAX32°に達するそうだ 。完璧なy=X²の登り道。所々に縞枯れ現象の林を見る事ができる。
山頂下
もうすぐ山頂で振り返る。確かに登って来た道はスキーの上級者コース並の斜度だ。
山頂下は積岩帯になる。ここからはペイント・ロープに従い右方向に大きく捲いて山頂ヒュッテに向かう。
岩は鮫肌で、濡れていてもグリップは良いが、苔付きもあるので慎重に行く。森林限界を抜けたので南西の風が強くあたる。
蓼科山頂ヒュッテ(2515m)のすぐそばに三角点。丘のような蓼科山だが、標高2500m以上、感覚以上に標高はあるのだ。 頂部は積石原が広大な円形状に拡がる 火口跡のためか中心に向かって少し凹状なっている そこに蓼科神社奥宮があり、奥宮をはさんでヒュッテの反対の淵に方位盤の見晴台がある。
容も寸もバラバラな岩が無秩序にころがっている無機的な空間なのだが、 なぜかそこには『自然界の意識・秩序の気配』を感じた。岩原の頂上、向こうからモノリスが飛来してもおかしくない。【2001年宇宙の旅】のテーマが聞こえてきそうだ。
山頂からは南アルプス、八ヶ岳、浅間、車山などの山々の展望はあるが、今日は肉眼には写るものの、写真にはちゃんと映らない。晴れていれば北アルプスを含め素晴らしい展望だろう。『残念。』ひととおり観終わると、また雨が振ってきた。風も強まる。蓼科山は【女ノ神】だそうだ。きっと嫌われてしまったのであろう。
ヒュッテに戻ると、下山される方々が出立された。 今日はじめての人間だ。小屋のひさし下で雨宿りさせてもらう。Coffeeを点て行動食を食べる。
雨はやんだ。ヒュッテを後にする。山頂から蓼科山荘へは、岩窪の急下りが、真直ぐ山荘の建つ将軍平に向かっている。後ろを向くほどではないが両手を使い、岩の間を降りていく。
窪を下りきって、蓼科山荘前に出た。山荘は夏期のみの営業で、今日は人の気配はしない。
山荘前を左に折れると、斜度はとたんに緩くなり、女神湖に向かう森の中に入ってゆく。岩も石になる。
登って来た面よりこちらの側のほうが紅葉が進んでいるようだ。それでも[錦絵の様]とはいかない 今年の北アルプス同様、茶枯れが目立つ。幅の広いガレ斜面は丸太で崩れ止めされ、段々状になっていて滑らない。
天狗の露地
登山道から少し脇道にそれる天狗の露地。緩い積岩原の上部だ。女神湖周囲の高原と点在する白樺の木が見えた。
七合目には蓼科神社一の鳥居が建つ。夏道路が接続しており、駐車場やWCもある。団体さんが乗ってきた観光バスが数台停まっていて、丁度、これから入山される団体さんが身支度中。
ここからは夏道路を2度横断する登山道で、ゴンドラ頂上駅に向かう。
ゴンドラ頂上駅
【御泉水自然園】も見学したかったが、9:00開園なので今回は諦める。
ゴンドラといっても、長めのリフトの距離のスキー場、雪が積もれば白樺高原国際スキー場になる。ゴンドラ降り場の左側から草ゲレンデを下る。このスキー場を滑った事は無い。距離、斜度は望むも無いが、上部はコメツガの林で自然環境はすばらしいだろう。また雨が強くなった。
コンロ(中カートリッジ*1)、ツエルトシート
15Lザック(5.5kg)
『高原リゾートの里山』というイメージの蓼科山だが、そこに残された自然は逆に豊かだと思った。今回は時間の関係で駆け足な山行だったが、次回はゆっくり森林浴気分や好天時の雪山時に入山してみたい 。