新緑の季節、三峰神社の奥宮である妙法ヶ岳に半日ハイキング。山頂には今も狼が祀られている山だ。
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山名 / 山域; 妙法ヶ岳 / 秩父
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ルート; 三峰神社駐車場~妙法ヶ岳;往復
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登山形態; ペア登山
- 日程; 2014/06/14(土) 前車泊 半日
- 行程;3時間 移動;;1時間30分
- 三峰神社駐車場-登り;1時間-妙法ヶ岳-下り;30分-三峰神社駐車場
- MAP(jpg)
- 高低図(jpg)
- GPS・Google Earth DATA(Google Earthをダウンロード後、前記Google Earth data.kmzを展開してください)
※時間・数値・装備及び感想は、この山行時・個人のモノです。あくまでも参考としてください。
秩父湖のダム橋を渡り、山道を車で登り詰めると三峰神社のエリアに入る。観光地の別表神社であり、百名山として人気のある雲取山の起点でもある場所なので、こんな山奥でも駐車場がしっかりと整備されていて、早朝なのに結構車が停まっている。我々は半日ハイキングなので、のんびりと新緑の稜線を眺めながら手作りお弁当を食べてから出立だ。駐車場から山側の一段高い場所に上がり、石畳の登山道を歩き出す。
一ノ鳥居
道が赤土に変わると、すぐにコンクリート製の一ノ鳥居。注意書きやら、案内図が沢山掲げられている。ここで登山届が出せる。
二ノ鳥居
杉林の中を緩やかな傾斜で杉林の中を行くと、一の鳥居とは違い、いかにも「ここから神域デス」といった二のノ鳥居に出る。ここで雲取山への道と分け、自分たちは奥宮をめざし鳥居をくぐる。
広目の尾根に取りつくと勾配が付き、足元も露根の階段を上る感じになる。
雷のつめ跡広場
緑が濃く分かりにくいが、正面に1350mのピークが近づくと、北側の捲き道に進路をとり、【雷のつめ跡】の解説看板のある広場に出る。 ここからは斜度が緩んだトラバース道を進む。 木々の合い間に頂上が見えてきた。
三ノ鳥居
三ノ鳥居は、またコンクリート製。手前に東屋が併設されている。ここからも雲取山への登山道(炭焼平)に出られるようだが、あまり歩かれていないようだ。
三ノ鳥居~四ノ鳥居間は、尾根のセンターを進む。大きな広葉樹も育つ美しい稜線道で嬉しくなる。
四ノ鳥居
四ノ鳥居をくぐると道はやや険しくなり、大岩を捲きながらくアップダウン。地図上の妙法ヶ岳のピークは、この大岩のようだが奥宮の頂きはもう少し先だ。
最後はクサリもかかる急角度石階段を登り、三峯神社奥宮の社が建つ頂きに着く。 奥宮の社は、狭い頂上のほとんどを占める。古くより続いている各地の「講中」の力によって築かれた 石造りの社はとても立派なものだ。 そしてそこは、おイヌさま=狼が祀られている社だ。
- 山犬=狼の信仰 -
狼への信仰は縄文時代より以前からあったとされ、陸地のほとんどが山地である日本において狼は山の一部であり、神の使いであった。人や家畜が襲われた記録も多々残るが、それは人が狼のテリトリーを犯した場合や狂犬病に犯された狼の仕業であり、何より日本の神は祟るものである。それよりも狼は農作物を荒らすイノシシやシカ、ネズミなどの天敵であったため、昔の日本の主生業であった農業の守護神であった。のみならず、昔人は山と海との繋がりを現代人より強く感じていた。山は川を生み、川は大地を潤し、海に注ぎ豊かな漁場を育むため、海の民らも山への信仰があった。
そこから生じたのが「講中」というシステム。山岳信仰の普及に関与した皆でお金を出し合い、年に一度、代表者が山に詣でる。三峯の場合、そこでおイヌさまの札を借り受け持ち帰り、その年の豊作豊漁を願う。御師や役僧(地方に出向き布教活動をする者)の影響があるにしろ、基本は宗教ではなく、一般の人々の願いから発生した純粋な祈りだ。
そして百年前に狼は日本から消え、山の生態系は崩れてゆく一方となる。海外から狼を再導入する計画もあるそうだが、そう簡単にはいくまい。一度消えてしまった自然界の穴を人が埋るには相当の思慮と努力が必要だろう。
頂上には何か所かウッドデッキのテラスがおごられていて、のんびりとお茶することが出来る。
秩父の山はあまり詳しくないのだが、新緑の山々をそよ風が抜けて清々気分にひたれる。
下山
下山は往路を戻る。あっという間に駐車場だ。
まだ午前中。三峯神社を散策し、秩父を観光しながら帰りましょう。
コンロ(小カートリッジ*1)、ツエルト
15Lザック(5.5kg)
古い山岳信仰の形跡が残る山で、興味深い頂きの社でした。登山としても、ピストンの半日ハイキングながら、変化ある山歩きを楽しめました。