残雪期の編笠山~権現岳

やっとできた休みを使って、残雪期の権現岳日帰り山行。

  • 山名/山域; 編笠山、権現岳/八ヶ岳

  • ルート; 富士見高原登山口~編笠岳~権現岳~西岳~富士見高原登山口

  • 登山形態; 単独 残雪期

  • 日程; 2014/04/11(土) (前車泊)日帰り
  • 行程時間;10時間30分 移動時間;8時20分
  • 富士見高原 –2時間55分– 編笠山 –1時間15分– 権現岳 –50分– 青年小屋のコル –1時間– 西岳 –1時間40分– 富士見高原
  • MAP(jpg)
  • 高低図(jpg)
  • Google Earth DATAGoogle Earthをダウンロード後、前記14gongen.kmzを展開してください)


※時間・数値・装備及び感想は、この山行時・個人のモノです。 あくまでも参考としてください。

朝の甲斐駒ヶ岳

朝の甲斐駒ヶ岳

前夜は小淵沢の道の駅で車泊。翌朝、富士見高原に向かう。

→車 15分

富士見高原スキー場は今シーズンの営業は終了している。スキー場の先、ゴルフ場の一番奥のスペースに車を停める。

先着のおじさんグループが準備しているが、自分は向かいの甲斐駒の朝焼けが気になってしょうがない。自分が身支度を終える頃には、おじさんグループは出立してしまった。おじさんグループには、この日出会う事はなかったので、別の山に入ったのであろう。


富士見高原登山口駐車場

1355m
06:20入山
晴 無風
-2℃
xi=〇
駐車場


広めの登山道

広めの登山道

今日は朝から雲ひとつない快晴。風も無く、ルンルン気分での出立だ。

ジープ道に張られたクサリを超えて進む。最初は赤土の登山道。キャタピラ跡が残る、広めで平坦な道だ。

最初は砂利道

最初は砂利道

熊の出没情報がありました。

入口


■林道水平道 20分

五叉路分岐

1495m
06:40


五叉路分岐

五叉路分岐

カラマツ林の中、ジープ道と登山道が交差する辻に出る。この辺りは、林道や登山道が入り混じっているが、都度丁寧な標識があるので、迷わずに編笠山への道が判る。


■水平道 10分

尾根取りつき

1712m
06:50~06:55
晴 無風



「杯が渓流の一枚岩を流れる間に句を詠む_ 」風流な貴族の遊びにちなんだ【杯流し】という場所に出る。

今日は水の流れなく、岩の窪みに淀んだ水と落ち葉が溜まっている。『何首モヨマナケレバイケナイネ』

杯流しの少し上流、涸れた沢の左岸に渡り、いよいよ編笠山の尾根に取りつく。足元にも斜度が付く。二度ジープ道を横断する頃には、本格的な山中となる。


涸れた杯流し

涸れた杯流し

涸れ沢を渡って

涸れ沢を渡って


1770m地点大岩の岩屋(臼久保岩小屋)をすぎ、尾根が不明瞭になると少しづつ雪が出てきた。

すぐに雪を踏む方が多くなったので迷わずアイゼンを装着する。 ここから斜度が増し、息が切れる。


まっすぐ尾根

赤土の登山道

大岩の祠

臼久保岩小屋

 
木々に雪は無い

トレースはある


▲登り 1時間20分

2095m地点

2095m
08:15~08:25
晴 無風
-2℃
xi=×


尾根に上に出た

尾根に上に出た

2095mで尾根のセンターに出る。木々の合い間から差す陽がまぶしい。

この先は直線的につけられた登山道。ここまでの登りよりは少し斜度は落ちるが、ゆっくり進む。『今日は長いのだ。』

雪が多くなる

雪が多くなる


▲登り 45分

2400地点

2410m
09:10
晴 西風
-3℃


展望が広がる

登って振り返る

少し背の低くなった森から、ひょっこり岩帯に出る。編笠山の頂上下に出たようだ。大岩と少々の雪が残るミックスを直登して頂上に至る。

アイゼンのまま行く

岩帯になる

最後だダッシュ!

頂上間近


▲▲急登 20分

編笠山

2113m
09:30~09:55
快晴 北西風
-7℃
xi=〇


編笠山の頂上は、庭園のような広場になっている。今日の展望は素晴らしい。隔てるもの無く、その大きさを見せつけるような南アルプス、これから向かう権現岳は、その先の八ヶ岳の主峰赤岳と重なり見える。遠くには北アルプスや乗鞍、富士山と、快晴のお蔭で360°パノラマ展望だ。単独のお兄さんが登ってきた。二人で今日の天気の良さに感謝する。



編笠山山頂の景色

編笠山山頂の景色


編笠山頂上の広場

編笠山頂上の広場

山脈

南アルプス

北岳~甲斐駒ヶ岳~千丈ヶ岳

北岳~甲斐駒ヶ岳~千丈ヶ岳

阿弥陀岳、赤岳の展望

阿弥陀岳~赤岳

真っすぐ下る

編笠山から青年小屋への下り

権現岳

めざす権現岳


お兄さんは、「このまま西岳経由で下山する。」といって先に立つ。自分はもう少しこの展望を楽しもう。


▽下り 15分

青年小屋

2160m
10:10~10:15
快晴 北風
2℃
xi=×


錆びたトタンが外壁

青年小屋

小屋の在るコルまでも直線的に下りて行く。こちらは北面となり、登ってきた面よりも雪が多い。踏み固められたトレースを外れると膝まで潜る。

お兄さんは既に西岳に向われたようだ。誰もいない小屋傍で立休み。日差しが暖かい。


編笠を下りて

編笠を下りて

権現山まで1時間30分

雪に埋まりそうな標識

雪が増える

青年小屋からの登り


権現岳に向かう。またまた直線的に伸び登る登山道、トレースは薄くなり、一段と雪も多くスネまで沈む箇所もある。


▲登り 20分

のろし場

2530m
10:35~10:40
晴 北風
0℃


青年小屋から真っすぐ登ってきた道が一旦平坦になる。【のろし場】と標識がある。見晴らし良く、先の様子が見て取れる。 真っ黒で巨大な岩山が急峻すぎて、『あれじゃないよね』と願う。

地図を確認すると、東側の大岩がピョンピョンしている方が主峰だ。 今見えている真っ黒で巨大な岩山の西峰(ギボシ)は南面をトラバースで進み主峰に出るルートのようだ。はたして_


編笠山、後ろ南アルプス

編笠山、後ろ南アルプス

トレースは有る

トレースは有る

左の岩山の方がピークっぽい

右が頂上


森林限界を超えたので雪は減り、ラッセルの苦労は無くなるが、溶固を繰り返した氷道が出て来る。道は痩せ尾根、岩場、クサリ場などが次々と現れ飽きることは無い。


氷面の直登

氷面の直登

雪が無い場所もある

雪が無い場所もある

右が権現岳頂上

頂上が見えてきた


雪稜線

雪稜線

クサリ場トラバース

クサリ場トラバース

クサリ場

クサリ場


▲▲危険個所急登 1時間5分

権現岳 西峰

2700m
11:45
快晴 北風


西峰ギボシをトラバースしながら抜けてきた。真っ黒な岩峰だった西峰ギボシの裏面は白い雪面だ。この雪面トラバースはやばそうだ。固めの雪と急斜度の為、雪面の西峰を頂きまで登り、そして下ることにする。

ピッケルバンドを再確認し、雪面をアイゼンで確かめながら登ってゆく。雪はかなり固く、アイゼンが浮気味に感じたら、しっかり足場を工作しながら慎重に進む。

西峰と東峰のコルにたどり着き『ふぅ~』

場合によってはビレイが必要


西峰捲き道

西峰捲き道

南アルプス展望

南アルプス展望

この斜度のトラバースは止めておこう

権現岳西峰

難所越え

難所越え

権現岳 雪の頂上稜線

もう少しだ


◆注意ヶ所稜線 15分

権現岳

2715m
12:00~12:10
晴 北風
-3℃
主峰


主峰の東峰も痩せた稜線上だが、西峰に比べれば、緊張も薄まる。

山頂は大岩が幾つかの岩鞍を成していて、いかにも権現な頂上だ。


権現岳頂上の稜線

権現岳頂上の稜線

キレット越しの赤岳、阿弥陀岳

キレット越しの赤岳、阿弥陀岳

権現岳頂上の景色

西峰ギボシの斜度が解る

権現岳 頂上

権現岳 頂上

権現岳頂上にて

権現岳頂上にて

雪と岩の頂上稜線

権現岳の頂上稜線


なんか、西峰の方が背が高くないかい?


▽下り 5分

権現小屋

2170m
12:15~12:50
快晴 無風
3℃
ix=〇
夏季有人小屋夏有人


頂上直下に権現小屋がある。勿論、冬季は誰もいない。小屋半分は雪に埋まっている状態だ。稜線側から屋根に乗れる。

トタン屋根の上は乾いているし、温かいのでランチさせてもらう。


雪に埋まる権現小屋

雪に埋まる権現小屋

懐中おしるこで温まる

権現小屋の屋根の上で


▽▽危険箇所急降 30分

のろし場

2530m
13:20
晴 北風
0℃


『よし戻ろう。』登ってきた西峰だが、『帰路の方が下りが長くなるのでさらに怖いカモ。』と思っていたが、日差しを浴びて雪が緩み、アイゼンがしっかり効くようになっていて、思ったよりビビらずに降りられた。岩場では、雪ダンゴを払いながらの下降となる。

雪岩ミックス状態

雪岩ミックス状態

のろし場 2530m の標識

ここまでくれば一安心


▽下り 15分

青年小屋のコル

1910m
13:35~13:45
晴 西風
2℃
夏季有人小屋夏季有人


編笠山

編笠山

青年小屋の雪原コル

青年小屋のテント場

西岳へ

西岳へ


青年小屋の水場も雪に埋まっている

金命水?乙女の水?

青年小屋からは無雪期のキャンプ場の雪原を突き抜け西岳に向かう。

森に入るとやはり雪が多いが、トレースが多数あり、しっかりと踏み固められている。

青年小屋から10分ほどで雪に埋まった乙女の水場


◇アップダウン→▲登り 1時間

西岳

2398m
14:45~14:55
晴 無風
6℃
主峰


西岳へは、谷を大きく回りこむ登山道がつけれれている。ゆるやかなアップダウンの森中だ。時折、木が切れ展望があると、今日登った山々を振り返る。

緩く登って岩がゴロゴロしだせば西岳の頂きだ。


雪が多く残る森中

西岳へ

西岳の稜線

西岳の稜線

登ってきた山々を振り返る

振り返る

雪付き編笠

雪付き編笠

西岳 2398m

西岳山頂


▽下り 20分

2138m地点

1835m
15:15
晴 無風
10℃


西岳を下り始める

西岳を下り始める

西岳で最後の展望を楽しみ、山裾に向かって、またまた真っすぐな道を下ってゆく。

1950mあたりから次第に木々が高くなる。足元の雪も少なくなってきたのでアイゼンを外す。

土道になってきた

赤土道になってきた


▽下り 50分

不動清水

1508m
16:05~16:10
晴 無風
10℃
トイレ湧水・小屋水


だらだらと下り続け、林道を2度横断すると、【不動清水】の広場に出る。チョロチョロとだが水が流れている。 ついでにと、湧き水でアイゼンを洗う。アイゼン片手に赤土の道を進めば五叉路分岐に戻る。


水汲場

不動清水

中はチェックしませんでした

トイレ

ジープ道を横断

ジープ道を横断


■林道水平道 10分

五叉路分岐

1835m
16:20


五叉路分岐に戻ってきました

五叉路分岐に戻ってきました

ここからは、朝と同じ道で駐車場に戻る。陽に向かっての下山。

■林道水平道 20分

富士見高原登山口駐車場

1835m
16:40
晴 無風
11℃駐車場


レストランはやっているみたい

富士見高原スキー場

だいたい予定の時間に下山。駐車した場所のすぐ下のスキー場ベースに寄り、自動販売機で喉を潤す。

昨夜車泊した小淵沢の道の駅に寄り、いつもの八ヶ岳帰りの温泉、♨延命の湯に浸かって帰路につく。




天気図



装備
水タンク:2L 行動食1日分
アイゼン、ピッケル
 コンロ(小カートリッジ*1)、ツエルトシート
 32Lザック(7.5kg)



感想
充実した山行でした。中央高速からいつも眺めていた編笠山では予想通りの素晴らしい展望に恵まれ、権現岳の西峰ギボシは、一歩一歩を自分で考えながら足を出す緊張感が楽しかった。 厳冬期は無理でも、今回と同様の残雪期にキレットを超え、赤岳~阿弥陀岳まで行ってみたいです。

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