『登るより、麓で眺める山。』解っていても、時々登りたくなるのが富士のお山。
須走ルートを夜間に登り、御来光後、お鉢めぐりも楽しみました。
-
山名; 富士山
-
ルート; 須走口五合目~須走ルート~お鉢めぐり~須走ルート~須走口五合目
-
登山形態; 単独 ピークハント
- 日程; 2014/09/02(火)~03(水) 前日入り 夜出立
- 行程;12時間35分(内、御来光待ち;2時間30分) 移動;8時間20分
- 須走口五合目-5時間15分-頂上久須志神社-お鉢めぐり;1時間10分-頂上久須志神社 -2時間20分-須走口五合目
- MAP(jpg)
- 高低図(jpg)
- GPS・Google Earth DATA(Google Earthをダウンロード後、前記Google Earth data.kmzを展開してください)
※時間・数値・装備及び感想は、この山行時・個人のモノです。あくまでも参考としてください。
自分が直近に富士山を登ったのは10年ほど前のこと。最近の富士山は異常に混んでいるそうなので、夏休み後で、あざみラインの交通規制が無い平日に登ることにした。
濃い霧で真っ白の須走口の駐車場に16:30に着。丁度、下山した方々分が空いているためか、余裕で車を停められた。すぐに寝袋にくるまる。
20:00に起きる。まだガスってはいるが、見上げれば雲は早いスピードで流れて所々は星空だ。
21:00、天気予報を確認後、ヘッドランプを点け出立。夜明け前に出立する事は多いけど、こんな時間に山に向かうのは、なんか変な感じがする。しかし、自分以外にも登り出す人が少なからずいる。
駐車場から一旦下り、山小屋がある水平道を行く。日中なら賑わう売店も戸が閉まっていてる。そこだけ明るい有料トイレで用を済ませ、古御岳神社からは樹林帯の中を登って行く。樹林帯内はルートが判りづらい。ヘッデンで足元の踏み跡を辿りながら進む。樹林帯を抜けると、視界が開けた灌木帯をダラダラと登って行く。前も後ろも、点々とヘッドランプの明かりがちらついる。
※夜間登山の為、日の出前まで写真は少ないデス。
六合目の小屋を過ぎると再び樹林帯に入る。最初の樹林帯と違い、幅が広い一本道だ。霧もすっかり消え、先を見れば次の小屋の明かりが目立っている。
七合目が近づくと、すでにバテテしまった方が、登山道中の岩に座っているのが目立つようになる。登ったり戻ったりでグループで来られているリーダーは大変そうだ。
小屋前では大勢の方々が休憩中。まだ夜中の闇空だが、ここからは頂部のシルエットが肉眼なら良く分かる。頂上の少し下で灯台のように強い光を放つのが八合目か。
本七合目が近づいてくると斜度が増してくるが、それよりも人が増えて(溜まって)くる。人の間をぬうように進む。 山を越えて来る風が冷たい。渋滞停滞もあるようになったので、上だけレインスーツを着ることにする。
小屋前のT字路で吉田口の登山道と合流した。いきなりラッシュ時の改札のように、どっと人が増える。登りの一方通行状態なのだが、もう自分のペースでは登れない。吉田ルートを見下ろすと光の数珠が出来ている。
九合目
先に進むと人はばらけ、小屋前辺りほどの渋滞は無くなるが、それでも夜中の、しかも標高3000mとは思えない人の数だ。鳥居をくぐる手前は、再び微速前進状態になる。
暗闇の須走山頂だが、すでに多くの方が御来光待ちで小屋前に沢山いる。
まだ小屋前のベンチが空いていたので自分も仲間に入れてもらう。あまり汗はかかなかったが、動かないでいると結構寒い。-4℃の気温&冷たい西風なので、体感温度はもう少し低いだろう。ダウンを羽織って丁度良い。
隣に座ったお兄さん、携帯のバッテリーが切れてしまったそうなので、自分のを貸してあげる。『低温だとすぐダウンしちゃうんだよね~』ジャケットだけのお兄さんが寒そうなので、コーヒーを点ててあげ、しばらくお話する。
御来光
休むことなく人が到達しくるので、このベンチの辺りも大分混雑してきた。今日の日の出は平地で05:07の予定。4:30頃お兄さんに別れを告げ、少し先の朝日岳の斜面に移動する。こちらは、先ほど場所より風が抜けて一段と寒い。レインパンツに帽子も着用して日の出を待つ。
厚い雲海と東の帯状の雲で、〔ぽん〕と太陽が出たわけでは無いが、それなりにきれいなご来光でした。
太陽が頭を出すと、皆さん次の目的に行動をはじめるが、東の空の色の変化が美しいので、自分はまだしばらく彩空に見とれる。
時計回りでお鉢めぐり開始。富士山火口(大内院)の直径は約780m、周囲を歩くお鉢めぐりは約2.5kmといったところか。
東の広い雲海は、まだ変化ある表情を魅せてくれる。ダイナミックな雲の流れも楽しめた。
浅間神社奥宮に下ってゆくと、火口の底が見えてくる。万年雪がちょびっとだけある。
須走ルート頂上に建つ久須志神社は、現在、浅間神社奥社の末社扱いで、こちらの社が富士山頂上浅間大社奥宮(富士山の八合目以上は奥宮境内になる)。富士山の信仰については、修験や仏教の流れがあったにせよ、根底にあるのは噴火の沈静~封印であろう。
赤い坂をひと登りで富士山頂上の剣ヶ峰。はい、ここも記念撮影渋滞です。前の方の写真を撮ってあげると、後ろの方が撮ってくれる手順。自分が並んだ時は五分と待たなかったが、聞いた話だと30分以上待っこともあるらしい。
陽がそそぎ、風も弱まり気温上昇。立ち止まっていても寒くない。記念撮影後、ダウンを脱ぐ。
お鉢めぐりを続けましょう。西側にくると綺麗な影富士を観る事ができた。『はじめて~』
須走山頂
緩やかなアップダウンを繰り返して、お鉢めぐりも終了。最後に久須志神社で御朱印をもらって下山開始だ。
須走ルートの下山はちょっと複雑で、今回は頂上~本七合目までは登山道と同じ道を下り、本七合目から七合目までは登山道横の下山専用道で下る。七合目の大陽館に寄り、そこからは下山専用の砂走りを行き、最後の樹海中まで登山道と合流し須走五合目口に出る。ルートは年や状況によって色々変わるそうなので、注意が必要だが、まぁ、きっちりと色分けされた標識(須走ルートは赤色)を見落とさなければ迷うことも無いだろう。
闇の中を登ってきたので、景色が新鮮だ。雲海の雲は七合目より低い場所でわいている。気温が上がり暑くなってきたのでレインスーツを脱ぐ。
登りと違い、人はまばらなので自分のペースで歩ける。『次回は山スキーで。』のもくろみで、振り返りって斜面チェックしながらの下山だ。
七合目の先が砂走りになるそうなので、スパッツのバンドを確認して小屋前を出る。登リ道から大きく南にトラバースしてから砂走り道。下山専用の火山礫の直線道、最初は石が混じっていて走りずらい。所々、フカフカしてくると砂走り開始だ。真っすぐ走ると足に負担がかかるので蛇行しながら砂走る。
砂払い五合 吉野屋
樹林帯に入る前、売店のある砂払い五合で最後の休憩。
樹林帯を抜け、9:40に古御岳神社に出る。世界文化遺産となった富士山、小屋前の水平道に集金所ができていた。また霧に包まれはじめた駐車場に戻る。
駐車場を出ると、入りきれなかった車があざみラインに溢れ、結構な長さになっていた。
天恵の湯
あざみラインを下り、国道を山中湖方面に少し登った【日帰り温泉 天恵】へ。 山頂は快晴だったが、裾の雲は晴れそうになく、富士山は雲の中から、まったく姿を現さない。早々に帰路につく。
コンロ(小カートリッジ*1)、ツエルトシート
18Lザック(6.5kg)
夏の富士山は24時間営業、いつでも人が大勢いるし、登山道沿いの小屋の宿泊は要予約だが、それでも頼りになる存在だ。着いてすぐに登りはじめる弾丸登山はお勧めしないが、山小屋泊りの荷を背負って、気温の高い時間に上るより、体力に自信があれば、夜のうちに登って、早めに下山する今回のスタイルが良さそうだ。
きっと、これなら空いている方なのでしょうね。そう思うと、『夏の富士山はもうしばらくいいや。やっぱり登らずに愛でる山。』でも、山スキーなら楽しそうですね!